まだ見ぬ嫁を探して

東京外国語大学卒。 自由に書きます。 猟山主理 @shurinporin

「三度目の正直」という言葉があるけれど、六度くらいアタックすればどうなるだろう。

やらないよりはやってから後悔すればいい。
そう思いバスと電車を乗り継いで着いた先は、
ゴールドウィンというアパレル会社だった。
会う約束は取り付けていなかった。
朝と昼に電話をしたけれど、どちらも担当者は会議中だという返事しかもらえなかった。

そんな状況で突然の訪問に至るまでにぼくを突き動かしたのは、
以前からザックだけなら提供すると申し出てくれていた某S社の担当者からの思わぬ一言だった。


もう一度、ぎりぎりでもいいからゴールドウィン社にアタックしたほうがいいよ。



はじめてゴールドウィン社から連絡が来たのは1月中旬だった。
最初にあらゆる企業に送っていた企画書に興味をもってくれ
実際に1月末の展示会に呼ばれたことがあった。

わくわくしながら行くと、会場は想像以上に人が多くて慌ただしかった。
ゴールドウィン社の社員は大勢いたが、その数以上に他社からの社員がたくさんいた。

ゴールドウィン社のプロモーション担当のバッジを付けている人はひっきりなしに各企業の接待をしている。

こんな中に蟻のような学生が一人いていいのだろうか
相手にしてくれるだろうか

その予想は的中し、事前にアポを取り付けることができたにも拘らず
実際に担当の方と会って話せたのは5分程度だった。

その後、再度まとめた旅の企画の資料などを送ってみた。
返事はなかった。
2月になり焦りを感じ始めたので、電話をするようになった。
けれど、出張や会議などで一向に話せる機会はなく、それでも電話し続けたがダメだった。

状況は進展せずに、もはや諦めてローンを組みウェア一式を揃えるか、
ぶっつけで現地でどうにかしようか決意しようとしていた時だった。




ー羽田を出発する30時間とちょっと前ー


ビルの前に着き、おそるおそる受け付けを覗く。
幸い受け付けには人はだれもいない。
内線用の受話器が置いてあるだけだ。

もうここまで来たんだ。
躊躇うことはない。
怒られても全部受け入れよう。

受話器をとり、担当者の部署へダイヤルする。
すると担当者ではなく別の人が出て、担当の名前を言うと「打ち合わせ中」だと返事が帰ってきた・・


一分だけでも無理でしょうか?

そう告げると、受話器の先の相手から少し受け付け前で待つように言われる。

いよいよ怒られる
社会人をなめているのか
常識がないぞ
なんと言われても仕方がない
覚悟はしていたものの、いざ怒られるのを待つときの気分は決して良いものではない。

数分後、
エレベーターが開き、一人の人間が下りてきた。
1月末の展示会でお会いした担当の方だった。

向こうが口を開く前に、今回の突然の訪問について謝る
そしてどうしても時間がなく、お金もなく、物資も足りていない状況を苦し紛れに説明する。



何が欲しいの?

担当の方はメモ用紙とペンを片手に、
素人ながらに僕が必要だと考えるものを一つずつメモし、
原宿にある店舗に連絡しておくから、必要なものはそこで提供してくれると約束してくれた。


時刻は夕方17時すぎ
この時点で出発まで残り30時間を切っていた。



奇跡が起きたと思った。


ただ、一つだけ問題があった。
ゴールドウィン社から支援を受ける場合は、同業他社であるS社からの支援は断るというのが条件だった。

S社へ断りの連絡をすることは、
とても申し訳なくて辛いことだった。
電話する際の発信ボタンを押すのも、かなり躊躇した。


自分の企画書に目を通してくれたこと
わざわざ会ってくれたこと
社内で検討してくれたこと

それらに報いることはできなかったけれど、
一層この旅を良いものにしたいという思いはさらに強くなった。




そして僕は今、ドバイにいる。
トランジット23時間という果てしなく長い時間で
究極の暇からアホなことを思いついた。



つづく
(明日の朝、更新予定)

画像1
(筆者撮影:ゴールドウィン社提供のザック)






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