まだ見ぬ嫁を探して

東京外国語大学卒。 自由に書きます。 猟山主理 @shurinporin

外は真っ暗で風が吹き荒れる深夜0時、ぼくは南極をさまよっていた。


「行き先が”南極”という曖昧なクルーズ旅」で書いたように
南極での旅は基本的に船舶になる。
けれど、希望すれば1日だけ南極の上で夜を明かすことができる。

南極でのキャンプは2人1組でテントに泊まることになっていた。
そこでルームメイトの中国人リー氏とテントを組み立てるものの、なかなかうまく出来上がらない。

その様子を見かねた他の乗客のキャンプの達人がやってきて、一瞬で組み立ててくれた。


テントの中には支給された防寒マットを敷き、その上にもふもふした寝袋で寝る。

午前からの雪の中の徒歩で足下がかなり冷えこんでいたので

靴下を3枚重ねにし、ヒートテックタイツも2枚重ねた上でノースフェースからいただいたボトムスを2枚着た。

そしてタオルを枕にして、ホッカイロを寝袋の中に仕込み、準備は完璧。

死角はない。

画像8

ところが0時になろうとするころだった。


近くで何か音が聞こえてくる。

最初はペンギンや取りの鳴き声かと思っていたけれど、

耳を澄ませるとそれはもっとデジタルな響きで、テント内から聞こえていた。

ちらっと横を見ると

リー氏が自ら持参したタブレットで動画を見ているのが分かった。

イヤホンからの音漏れが激しく、またタブレットの画面を覗き込むと、そこには有名な日本のAV女優である蒼○そらが写っていた。


そういえば数日前にリー氏が、中国では蒼井△らが大人気だと話していたのを思い出した。


しかしテントの中で2人しかいないのにこうも堂々とAVを見られると

そこに居るのはかなり気まずい。


しかもリー氏はぼくが起きているのに気づいていない。


どうしよう

このままリー氏が寝るのを待つか

でも映像を見る限りだと、まだまだピークまで時間がかかりそうだ。


それならぼくが寝た方がいいのか

でも寝ようにもなかなか寝つけない。


咳払いをしてみても気づきもしない。

そこで自分のケータイを開き、照明をMAXにしてみる。

すると明かりに気づいたリー氏はむっくりと首だけこちらに傾け、


起きてたのか。

君も一緒に見るかい?(英語)


と言ってきた。


ノーサンキュー

とだけ答えてテントから出た。

けれど外は真っ暗なので、テントから5mほどを行ったり来たりしてテントの明かりが消えるのをひたすら待ち続けた。

しばらくするとリー氏がガサガサとテントから出てきたので

すかさず入れ違いでテントに戻る。


緯度がそれほど南極点まで近づいておらず、また夏でもあった為

外気はおそらくマイナス10-15℃くらいだっただろう。
それでも30分弱もの間、夜の南極を歩き回ることとなり、ひどく体力を削られてしまった。


 

南極ではウイルスが生息できないので風邪を引かないと聞いていたけれど、

頭痛はするし鼻水は出るし、露出していた顔面は痛む。

翌朝になり船に戻って半日ほど寝込むはめになってしまった。

(寝たら治った)


一方で翌朝のリー氏が満面の笑みで

他のクルーに「キャンプは最高だった」と言っているのを聞き、とても悔しかった。




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